【ダニ】
この10年で日本の家の中に住むダニの種類が大きく変わっている。
住宅の高気密化・高断熱化と藁の畳が減っているのが大きな理由です。
以前はツメダニやイエダニなど、なじみのあるダニだけでも30〜40種類はいましたが、その中で今も変わらず家庭で見かけるのは主にチリダニです。
チリダニは、じゅうたん・畳・布団・衣類・ぬいぐるみなどに繁殖する。
「チリダニは、高温多湿で、隠れやすく、えさに恵まれた環境に繁殖します。えさは人間や動物の垢やフケ。カビの胞子も好んで食べます。ですから、この条件のそろった場所は、念入りに掃除することを心がけてください。」
ダニの撃退で常に意識が必要なのは、ダニだけでなく、その排泄物も除去しなくてはならないということ。
「チリダニの害は、その死骸や糞がアレルゲン(*1)となること。気管支喘息などを引き起こします。また、ダニの体が約0.3mmに対し糞は0.04mmくらいで、さらに細かく砕けて気管支、肺胞内に侵入しやすいので、ダニの除去だけではなく、その500倍以上散らばっていると考えられる糞の除去も大切。水溶性なので洗うのが一番です。」
*1…アレルゲンのこと
アレルギーを引き起こす原因となる物質を「アレルゲン」といいます。家の中に散在しているアレルゲンは意外にも多く、ダニ(生体・死骸・抜け殻・糞)やカビ、花粉、ハウスダスト、ペット(毛・フケ等)、羊毛、絹、ソバガラ、消臭剤、ヘアスプレー等など、その種類は数えきれないくらいです。アレルギーの症状で悩まない為にも、こまめなお掃除と計画的な換気で、住まいの中のアレルゲンを減らすことが大切です。
人の体内に侵入してきた異物に対し、これを撃退しようとする自己防衛本能が働き、異物と特別な反応を示す抗体という物質をつくります。ふつう、自己防衛本能は体の害になるバイ菌やウイルスに対してだけ働くものですが、アレルギー体質の人は、ダニやハウスダスト、花粉、時には日常の食べ物にも過剰に反応し、体内にアレルギー抗体(I・E)を作ってしまいます。これが喘息、アトピー性皮膚炎、鼻炎、結膜炎、腸の炎症など、さまざまなアレルギーの症状となってあらわれるのです。
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■ ふとん
まず、洗えるものなら洗ってしまうのが一番。
特にダニの糞は水溶性なので、洗うことでほとんどが除去できる。風呂場での踏み洗いが効果的。洗えないものは、ダニの活動を抑えるために湿気をとることが大切。充分に湿気をとる干し方は、
「イスなどを使い、ふとんをM字形に干すと表側以外にも風が通り効果的です」
干している最中にパンパンとホコリをはたくのには注意が必要。ダニの糞などが叩き出され、ダニも死ぬが、ふとんの中のダニの死骸や糞が表面に出てきて、そのまま寝ると、それを大量に吸うことに。叩くだけでは逆効果。取り込んだあとは入念に掃除機をかけよう。
「使い古しのストッキングを掃除のヘッドにかぶせると、ふとんを吸い込まずに掃除できますよ」
■ たたみ
現在では畳の芯材が「わら」でなくなったため、昔ほどダニが繁殖しなくなったが、それでも、中に充分な湿度を持ち、隠れることが出来る畳はダニの格好の生息場所となっている。しかも、
「昔は気密性の低い家屋だったので冬には湿度が下がり、ダニの数が減るという年間のサイクルが繰り返されていましたが、最近は家屋の気密性が高くなり、冬にも加湿器を使うので家屋内の湿度が年中下がらなくなってしまい、それが結果的に夏のダニの大増殖を許す原因となっています」
入念な掃除と拭き掃除が必須。
「とにかく1mを5秒くらいかけて進むぐらいの速度で掃除機を徹底的にかける。殺菌するために酢が入ったお湯で雑巾を固く絞って拭くとよいでしょう。あとは、とにかく風通しを良くしておくことが大切」
■ 流しの下
頻繁に水を使う流しの下は湿気がたまりやすく、しかも、ダニのえさとなる食べかすや、袋の口が開いたままの使いかけのパスタなどの麺類、米びつにある米といった食品があると、食べ物につくニクダニが発生することがたまにある。
これを防ぐ為には、食品を全て取り出し、賞味期限の近いものは早く片付けると同時に、保存する食品を必要なものだけに絞ることが大切。そして、物を少なくして風通しを良くすると同時に、使いかけのパスタでもダニが侵入できないように、ふたの付いた専用の容器に入れ、しっかりと密閉しておく。
また、防虫・防カビシートを敷いておくのも、防虫効果だけでなくダニのえさとなるカビの発生を防ぎ、ダニの繁殖を効果的に抑えることが出来る。
■ じゅうたん
現在いちばんダニの温床となりやすいのがじゅうたん。
長い毛足のものは特にホコリ、食べかすなどが残りやすく、ダニの格好のえさとなる。しかもウールなどの天然素材を使ったものは、その繊維内の湿度を持ちやすいので、なおさらダニにとっては繁殖の好条件がそろってしまうことになる。
「ダニ対策という面では、できればじゅうたんは避け、フローリングにするのが非常に効果的だが、やむをえない場合は化学繊維を使った毛足の短いじゅうたんを選ぶといいでしょう。畳と同じように、しっかりと掃除機をかけてください」
■ 家具と壁のすきま
家具と壁のすきまにわたボコリがいっぱい、そんな状態ではカビの温床となり、それをえさとしてダニが発生することにもなりかねない。まずは、家具と壁のすきまにたまっているホコリを徹底的にとってしまうことが先決。そのあと拭き掃除、カビが生えていたら、アルコール消毒をする。そして、空気が流れるように壁とのあいだに5cmくらいの隙間をとるようにしておけば、ホコリもたまりにくい。
「すきまに入るように掃除機のすきまノズルにホースをつけ、こまめに掃除を」
■ ぬいぐるみ
手垢などで汚れたぬいぐるみにはダニがつきやすい。子供が遊ぶものだから、しっかりとダニを除去したい。普通のぬいぐるみの場合は、洗えるものなら洗ってしまいたい。しかし、
「ぬいぐるみは中までしっかり乾かさないと逆にダニの繁殖を手伝ってしまうことに。真夏の日差しの下において天日干ししても丸2日で乾くかどうかというところ。天日干しで乾燥させるにとどめましょう」
そのあと、子供の肌に直接つくものだから、洗剤液を使っての拭き掃除は避け、櫛・ブラシなどで毛並みの間によく風を通すように。あとは、表面に残っているダニや糞、ハウスダストをできる限り除去する為に、掃除機を使って表面を入念に掃除し、消毒用エタノールで殺菌しておくようにする。
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【カビ】
目に見えにくいだけで、私たちは普段から数十種類ものカビとともに暮らしている。
「正確な数字は分かりませんが、おそらく40〜50種類だと思います」
カビによる人間への害は主に二つ。
「まず、カビが吐く毒素による中毒。カビ毒と呼ばれています。倉庫で長く保管されていた食品にカビが生え、毒素を吐き、それを食べることで中毒になるわけです。ただ、今の日本の食品はきちんと検査をしているので、こうした中毒がめったに耳にしません。もちろん、目に見えるほどカビの生えた食べ物は危険ですが、輸入穀物に気をつければ問題ありません」
気候が穏やかな日本のカビは、外国と比べて毒性も強くはないという。
「ですから、最も注意が必要なのは、カビそのものを吸い込むことで起こるアレルギー性の気管支炎や皮膚炎、鼻炎や肺炎です。カビが生えた状態をそのままにして繁殖させてしまうと、胞子が舞い、呼吸器に入ってしまいます。カビが発生するような高温多湿を避けるためにも換気を心がけ、カビに気付いたら拭き取るようにします」
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カビの名前 |
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アルテルナリア |
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黒色真菌のひとつで、湿度のある場所に好んで生息する好湿性のカビ。植物病原菌で農作物に被害をおよぼす。 |
| クラドフィアロフォーラ |
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黒色真菌のひとつで、好湿性であるが生息範囲は広く、部屋中、いたるところで見られる代表的なカビのひとつ。 |
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アスペルギルス |
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俗にコウジカビ、クロコウジカビと呼ばれる種。中湿性、好乾性の種があり、数種は人に感染する。味噌や醤油を作り出す重要なカビが含まれるいっぽう、カビ毒を産生する種も数種ある。生息範囲は広く、土壌中にも多い。 |
| ペニシリウム |
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俗にアオカビといわれるカビで、ある程度の湿度を好む中湿性の主を湿度を好む好湿性の種がある。ペニシリウム・ビリディカータムなど、カビ毒を産生する種もあるが稀。生息範囲は広く、土壌中にも多い。 |
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フサリウム |
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好湿性。植物病原菌で農作物に被害をおよぼす。人に感染する種もある。カビ毒を産生す種もいる。 |
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ユーロチウム |
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有性生殖をするアスペルギルスの完全世代のひとつ。好乾性のカビで、かつお節の製造にも利用される。 |
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エクソフィアラ |
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黒色真菌のひとつで、湿度のある場所を好む好湿性のカビ。
人に感染する種もある。 |
◎…好んで生息、繁殖する。 ○…条件が整えば生息、繁殖する。 △…あまり生息しない。
注) カビの生息場所は同じ属の中でも分布の広がりがあり、一概には言えないが、おおよその分布を表にするとこのような表になる。
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■ 台所
「台所、特に配水管のある流しの下は湿気がこもりやすく、カビが生えやすい場所」
カビが生える前に、一度、入っているものをすべて取り出し、掃除する。カビを発見したら拭き取り、エタノールで消毒。固く絞った雑巾でお湯拭き。その後、流しのした全体にエタノールをスプレーして殺菌するとさらによい。防カビシートや流し専用防カビ剤を置き、中に風が通りやすいようにすきまをあけて、ものを収納してゆく。
時間のあるときには、扉を開けて扇風機で風を送り込むなどすると、いっそうカビの発生を防ぐことができる。
■ ふとん・ベッド
人は寝ている間に多量の汗をかく。その汗はふとんに吸収され、そのままではカビの温床に。
「特に万年床では、ふとんの表は乾いても、裏側に移った湿気は残ったまま。布団の場合は、上げ下ろしするだけでも違うので、毎日ふとんはたたみ、まめに干すと効果的です」
ペッどの場合、ベッドの隅にホコリがたまるとそれがカビの栄養分になるので、しっかりホコリを取るようにし、マットレスが水分を吸い込んでしまうので、マットレスもたまには天日干しをするとよい。
■ お風呂場
お風呂場のカビ自体はカビ取り剤や消毒用エタノールで殺菌できるが、目地やゴムに食い込んだ色素までは落ちない。
「漂白剤を規定の2,3倍に薄め、2時間くらい湿布してみてください」
それでも取れない場合もあるほど、カビはしぶとい。
お風呂を使う前に、石鹸が飛び散り、水が流れる場所を見ておく。使用後はそこ中心にブラシで軽くこすり、カビが生えやすい場所を中心に水分を拭き取っておく。あとは使用後、空気がうまく流れるように窓と扉を開けて、換気扇を1時間くらい。これだけで、お風呂場の湿度が抑えられ、年中カビ知らずです」
■ エアコン
空気中にはたくさんのカビの胞子が舞っているので、エアコンのフィルターにもカビが吸い込まれる。ほうっておくとカビを室内にまき散らしかねない。
「フィルターを取り出し、新聞紙の上で掃除機をかけると新聞紙と掃除のヘッドに挟まれて、しっかりとホコリがとれる。そのあと、中性洗剤の溶液を歯ブラシにつけフィルターをこすり、残った汚れもしっかり落とす。使用する前にしっかり乾燥させ、できれば、本体に付いた汚れも拭き取る。黒いものの正体は大体カビであることが多いんです」
長年、使っているものは中にカビが発生していることも。掃除をしてもカビ臭さがとれない場合は、専門の業者に頼んで掃除してもらうのも一つの方法だ。
■ じゅうたん
水虫は、皮膚の角質に付くカビだが、原因は汚れたじゅうたんにあることがある。水虫の人が歩いてカビをばらまき、ほかの人の角質に水虫の原因である白癬菌が付着し、水虫となる。
「まずは、掃除機を徹底的にかけること。1mを5秒くらいのスピードでゆっくりと、丁寧にかけてください」
特に、ホコリのたまりやすい家具の裏なども丁寧に。
「その後、お湯で絞った雑巾で拭き掃除、消毒エタノールで湿らせた雑巾で拭いておく。大変ですが、一度やっておくとカビ退治に非常に効果的です。一度にすべての場所をやろうとするのではなく、いくつかの場所を区切って少しずつ掃除するようにしましょう」
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■ 押し入れ
「押し入れのカビの原因は、詰め込みすぎの空気のよどみと、それによる結露(*1)、そして、カビの栄養源となるわたボコリです」
梅雨の季節の前に一度すべてのものを出し、お湯で拭き掃除。消毒のようにエタノールを吹き付けておくと防カビに効果がある。そして、中に湿気がこもらないようにすきまをあけての収納を。下のすきまが3cm以上ある、すのこを敷くのも効果的。
「ふすまの両端を開けての換気も重要です」
空気の流れが妨げられないようにすることがポイントだ。
*1…押し入れだけでなく窓の結露にも注意したい。
カビ・ダニの発生を抑える最適な湿度範囲は、40〜60%です。また、生理学的に人が過ごしやすいとされる湿度は、40〜70%と言われています。室内の湿度調整は、人が健康で快適に暮らしていくために欠かすことができない。
■ 冷蔵庫
カビのついた食品を食べてしまうと、カビ毒により中毒症状を起こすことになりかねない。
「冷蔵庫は食品の一時的な保管庫だと認識を徹底し、食品はなるべく早く消費すること。手入れ法としては、一度、物を取り出し、庫内を拭きあげる。ゴムパッキンなどカビが生えているときは消毒用のエタノールを吹き付き、歯ブラシでこすり、カビと落とす。最後に庫内に消毒用のエタノールを吹き付けておきましょう」
また、庫内でも温度に差があるので、食品を保存温度別に分類して収納しておく。エタノールを庫内にスプレーするだけでも殺菌効果があるので、ある程度、時間が経ったら、中の食品が密閉してある状態なら、このまま吹き付けてもよい。
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